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第1界 ハジメカイ #6

last update Last Updated: 2025-11-13 14:20:30

 翌日、快は瀬川との約束の地へ向かうため新宿駅で電車を降りた。

 するとスマホにLINEが届く。

『やべー寝坊した!遅れます…!』

「あいつ……」

 駅のホームにあった自販機で何か買おうとするが。

「(コーラ売り切れてる……)」

 大好きな缶コーラが無い事にがっかりする。

 今の快の傷ついたメンタルには何でも深く刺さり過ぎるのだ。

 昨日の愛里と美宇との一件はまだ快の心に傷を大きく残していた。

 そんな状態で瀬川と楽しめるのか、楽しめないと失礼じゃないか、そんな事まで考えては落ち込んでしまうほど。

「はぁ〜」

 自分はヒーローにはなれない。

 まともな人からそう言われてしまっては反論のしようが無い。

 しかしヒーローになりたい、必要とされたいという欲求は止まらない。今の心は苦しくて仕方がなかった。

 大きくため息を吐いたその時、ホームにある男の声が響いた。

「おい、落ちたぞ!」

 何やら人が一箇所にぞろぞろと集まっている。

 何事かと思い快もそちらを覗いてみた。

 するとそこには。

「うぅ〜いててて……」

 なんと酔っているであろうホームレスが線路の上に落ちてしまったのだ。

 そのまま眠ってしまったのか起き上がる気配がない。

『間もなく列車が参ります』

 タイミング悪くアナウンスが流れる。

「待ってよ、電車来ちゃうじゃん!」

「誰か駅員さん呼んで!」

 しかし誰も自分から動こうとはしない。

 理由は明白だ、無理に助けようとしたら自分まで巻き込まれかねないから。

「ゴクッ.......」

 そんな中息を呑む快が考えていた事は。

「(証明するなら…)」

 ヒーローになりたい、しかし自分にはなれない。

 それは本当なのかどうか証明するチャンスがやって来た。

 しかし失敗すれば死ぬかも知れない、しかし挑戦しなければ二度とチャンスは訪れないかも知れない。

 そんな心の葛藤が渦巻いていたのだ。

「ふぅーーよし……!」

 そして快が取った決断は線路に降りて助ける事だった。

「おい!電車来るぞ!」

 確かにこのまま自分ごと死ぬ可能性もある。

 しかし今は自分がヒーローになれる事を証明しなくては。出来なければ死んだも同然なのだ。

「あの!大丈夫ですか⁈」

 寝ている酔っ払いを起こそうと体を叩く。

「うぅ〜うるせぇなぁ……」

 しかし全く起き上がる気配はない。

「クッソ!」

 そこで快は肩を組み無理やりにでも起き上がらせる事にした。

 そこへ電車がやって来る。

 プアアァァァーーーンッ

 耳をつん裂くような汽笛を鳴らして迫り来る。

「うるせぇ……なぁ!」

 その時酔っ払いは寝ぼけながらキレて快の手を払い除けた。また線路に横たわってしまう。

「おい!しっかりしろって!!」

 もうダメだ。

 電車はすぐそこまで迫っている、もう間に合わない。

「きゃーーー!!」

「ダメだぁぁー!!」

 そんな声が響く。

 そして快は。

「はぁっ、はぁ……」

 まるでスローモーションのように時間が流れていた。走馬灯というやつか。

 ドクン、ドクン……

 自分はノロマで頭も悪くて。

 ドクン、ドクン……

 障害のせいで人とも上手くいかずに。

 ドクン、ドクン……

 夢も叶えられずうつ病になって意味もなく苦しみ。

 ドクン、ドクン……

 誰も救えないまま、必要とされないまま死んでしまうのか?

「嫌だ………」

 嫌だぁぁぁーーーーっ!!!

 そして響いた音は。

 ドオォォォォン……ッ!!!

 ☆

「……え?」

 目の前の光景を疑った。

 自分達に衝突しているはずの電車が宙を舞っているのだ。それに地面が崩れるように裂けている。

 グギャアアアァァァッ!!!

 その中から見た事もないほど巨大な生物らしき何かが出現した。

 耳をつん裂くような雄叫びをあげている。

「何だアレ………⁈」

 鋭い目つき、悪魔のような顔、轟く咆哮、全身を覆う鎧のようなトゲ。

 "バビロン"はその凶悪な面を見せて渋谷の街に出現した。

「グギャアォォォッ!!」

 新宿駅から進行する。尻尾を叩きつけビルを破壊し口からは熱線を放つ。

 突如現れたその脅威に人々は逃げる事すらままならなかった。

「………はっ!」

 しばらく唖然としていたが巨大な咆哮の隙間から微かに聞こえる人々の悲鳴を耳にして我に還る。

「助けてぇーー!!」

 訳もわからず逃げる者。

「ママぁぁーー!!」

 瓦礫に親を押し潰され泣き叫ぶ子供。

 またはその逆、子供を潰され泣き叫ぶ親。

「はっ、はっ……」

 その声を聞いた快の身体は自然と走り出していた。

「(ヒーローに、ならなきゃ…!)」

 つづく

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